阿蘇のジオサイト紹介

2.中岳ジオサイト

中岳ジオサイト

活火山から地球の営みを感じる

 阿蘇カルデラの形成後、カルデラの内側には成層火山を主とする多くの火山が成長し、中央火口丘群が形成されました。中岳火口近傍を少し離れると、火口近傍の荒涼とした景観とは対照的に、牧草や一部人工林が火山体や周辺斜面を覆う優美な景観が広がります。

 カルデラ内の火山群のうち、ほぼ中央に位置するのが中岳。活動中の火口を見物することができる世界的にも珍しい火山で、世界各地から火口見物に訪れる人々が絶えません。中岳火口は、東西約400m、南北約900mのほぼ南北に並んだ複合火口。北から順に7つの火口があり、古くからこの複合火口の中で活動場所を移動していたことが、古文書の記録や最近の約100年間の観測で分かっています。明治時代以降をみると、主として第1火口が活動し、1923年より1930年までは第4火口が活動の中心でした。その後、1932年9月4日に再び第1火口に移動し、現在に至っています。

 訪れる観光客に驚きを与える火口内の湯だまりは、火山活動が比較的静穏な時期に火口内に生じた火口湖で、通常、約50℃から60℃の非常に強い酸性の湯がたまっています。エメラルドグリーンの神秘的な湯をたたえる中岳火口は、阿蘇ジオパークの大きな目玉の一つ。年間約100万人に上る多くの観光客が訪れます。

関連ジオポイント
中岳火口

中岳火口

中岳火口は、阿蘇観光の中心地で、活動的な火口を見物できる数少ない場所の一つです。

中岳火口では、最近1,000年間は火山灰の噴出を中心とし、活動期にはマグマ水蒸気爆発やストロンボリ式噴火、静かなときには噴気活動と火口内に湯だまりを形成する活動が繰り返されてきました。

砂千里ヶ浜

砂千里ヶ浜

数千年前に形成された中岳新期山体の火口原。黒い砂やスコリアの細粉で覆われています。堆積物は火砕丘の開析に伴う扇状地堆積物が多く、そのなかには火山弾や多量の噴石などが見られるのが特徴です。また、わずかならもイタドリなどの植物も生育しています。